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「再会」と呼べる「出会い」

第9章 温もりバス

「な え   …」

同じようなこと
優司くんにも言われたっけ

……

「だいぷ顔色良くなったね。
 悪寒は?」

「うん、大丈夫」

…具合良くなったのを確認したら
 もう 行っちゃうのかな

「良かった、
 熱、上がらないで済みそうだね」


「うん ありがとう…」


次朗君の向こうから、
バスが来るのが見えた。



…さっきは殆ど時間が
経たなかったのに、
今度はやたらと早く感じる。



私達はバスに乗り込んだ。
すいていたので
私は中程にある、二人掛けの席に座った。

「隣、いい?」

あいてる席、沢山あるのに…
私は隣を空けた。

幸い、うちの学校の生徒は他にいない。
これから乗り込んでくる
可能性はあるけど、
町中を通るわけじゃないから低い。

…かなり密着

また あの匂い…

これから20分
この状態が続くのね



「他にも席、空いてるのに…」

「バスに乗るの久し振りだなぁ
 たろちゃんを子供の頃に乗せたのが
 最後だな、確か」

「たろちゃん?
 下に弟さんいるの?」

「あぁ、いや
 知り合いの子を見てた時期があって」

「次朗君が?
 海外にいたんだよね
 もしかしてベビーシッターとか?」

「…そうそれ!
 ベビーシッター!」

なんか、取って付けたみたいだ。
そう言えば、買い出しの時に
主婦みたいな事をしてたって
言ってたし…
私への気のかけ方がお母さんみたいだし
やっぱり、サバ読んでるんじゃ

「…なんか疑ってる?」

次朗君が苦笑する。

「べーつにー…」

「気になる?
 詳しい事は仲良くなったら
 教えてあげるよ」

「…」

わざと、窓の外を見て
次朗君から視線をそらす。

ただでさえ密着して
匂いで変な気分になりそうなのに
あの表情を見ちゃったら…

自分が自分じゃなくなりそう

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