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「再会」と呼べる「出会い」

第9章 温もりバス

「ミカ、今日の夜、会えねーかな」







「ごめんなさい
 うち、夜は出歩いちゃいけない事に
 なってるから…」

「はぁ…? 今時夜間外出禁止かよ」





「うん…」

「萎えるわ…。
 なんとかなんねーの?
 抜け出すとかさ」

優司君の声が少し、怖くなった。

「…無理だよ
 本当にごめんね…

「ミカは俺に、会いたくねーの?」



「そんな…ことは…」

会いたくないよ。



「だったらさ、五分でいいから。
 俺、練習終わったら、
 近くまで行くよ。」

困る

「で…でも。

 優司君っ
 練習後で疲れてるでしょ?
 無理して来なくても大丈夫だよ!
 試合にひびくといけないし…」

「試合にひびくようなこと、
 想像したんだ?」


!!




やっぱりバカだ…。

「ちっ…違うよ!!
 ごめん、本当に無理なの!!
 試合がんばってね」

「俺はすげぇミカに会いてぇ…」



「じゃ、またっ…!!」

「おいミカ…」



ツー ツー ツー


私は無理矢理電話を切った。
そしてそのまま、電源も切った。


「…」


カーテンが開いたままの窓を見ると、
月が満月に近い程膨らんでいた。





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