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「再会」と呼べる「出会い」

第9章 温もりバス

「どうしよ」

どうしていいか分からない。
自分が今置かれている状況
優司君の真実…。

お母さんの事、
やけにあっさりだった気がする。

昨日はあんなに辛そうだったのに


まさか

嘘 だったとか?



まさか…。




本当の事なんて、確かめようがない。
どこの病院に入院してるとか、
何も詳しい事を聞いてないし…。




「あらぁリョウ君!
 相変わらず逞しいわね。
 ミカなら部屋よ。」

一階から、お母さんの声がする。
リョウ君?

…あ

着信の返事してない。
心配して、来てくれたんだ…。

「ミカ! 
 リョウ君が来てくれたわよーっ!」

「はぁーい」



幼なじみの私たちは、
子供の頃はお互いの家を
よく行き来してたけど、
中学に上がってからは殆ど
それは無くなっていた。

だからリョウ君が来るのは、
すごく久し振り。



部屋のドアを開けると、
目の前にはドアよりも大きな
リョウ君が立っていた。

「よぉ、このドア、
 こんなちっさかったんだな。」

「リョウ君が
 大きくなりすぎたんでしょ?」


リョウ君が来てくれた事は
今の私にとって、
何だかすごく心強かった。

「ごめんね、何も返さなくて」

「あぁ、大丈夫。
 次朗君に聞いたから。」

次朗君が電話してた相手って
リョウ君だったんだ。

「優司先輩とは、
 実際どうなんだ?」

どうって…

「うまくいってたのか?
 何か無理矢理
 酷いことされなかったか?」



「…されなかったよ
 本当に、今のところ大丈夫。」

確かに、最初の時は無理矢理だったし、
首も絞められたし、乱暴にされたけど…。

二回目は自分からしちゃったわけで…。


けど、そんな赤裸々なこと言えない…。

「そういうの、言いづらいよな、
 俺じゃ」

リョウ君が苦笑する。


…ごめんね、心配かけて


「本当に、今のところは大丈夫だから」

「そっか…良かった。
 最初、信じてくんねーと思ったから」

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