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「再会」と呼べる「出会い」

第9章 温もりバス

隠土先生??
何でっ?! 

「なんで隠土先生が?!」

…あ そう言えば
初めて会った時、
優司くんから
無理矢理与えられた痛みを
和らげてもらった。

…だからって
事情知ってるってこと?

私、話してないよ。
っていうか誰にもあの事は言ってない。


「なんかさ、似てるんだって。」

似てる?

「隠土先生の知り合いに。
 
 その子、妹みたいな存在で
 先生は大切に思っていたらしい。
 
 ま、あれだ。
 俺にとっての
 お前みたいなもんだな。」

……。

「そう、なんだ。」

なんだろ…
隠土先生にとってのその子の存在

凄く胸が締め付けられる。

全くの他人
という感じがしない。


「だからな、あれだ。
 困った時は頼れよ!」

「え」

「聞いてねーのかよ。
 あ~ぁ、お前にとっての俺って…
 ま、いっか。

 …それは置いといて

 お前さ」

「…何?」

リョウ君の目が
突如真剣になった。


「次朗君のこと、どう思った?」



「ぇ…どうって…  別に」


思わず、言っちゃったけど
別に なんかじゃない。
本当は…

「他人じゃないような、
 どこかで会ったような気、
 しなかったか?」


…ドクっ

なんで、分かるの?


「し…  した。
 けど、それはお兄ちゃんの学校に
 行った時に隠土先生を見たからで…
 だってホラ、
 兄弟で顔が似てるじゃない!
 だから勘違いで…」

「お前、
 そう思いこもうとしてるだけだろ?
 そういうんじゃなくてさ、
 …ぁあっと、あれだ、
 会った瞬間運命感じたとか、
 よく、芸能人が結婚会見で言ってるような」

「それは無かった。」

「無かった?」

「無いよ。」


よく言う、
ビビビッ…ってやつでしょ?


初めて会ったのは今朝の職員室。

綺麗な顔で、ジャラジャラ付けてて
…目が優しくて



無かった。
そんなの、無かったよ。


代わりに湧き出てきたのは
何故か申し訳ない気持ち…それだけ。

「おかしいな…
 じゃ隠土先生に対しても、
 何も感じなかったのか?」





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