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「再会」と呼べる「出会い」

第10章 文明の利器

「じゃあね、ミカティ!」

「うん またね!」

「土日、気をつけてね。
 なんかあったら連絡して」

なんか、とは優司くんの事だ。

「分かった。またね。」

ギリギリ間に合った
バスに乗り込みながら、
私はヤマちゃんとミッチに
別れを告げた。


中学の学区は同じだったが
高校までの距離は
ミッチやヤマちゃんの家の方が
ずっと近い。
だから私はバスで通学しているが、
二人は自転車で通っている。


バスの中は昨日同様に空いていた。

私は無意識に、
昨日と同じ場所に座った。


昨日は隣に、次朗くんがいた。


今日は… 一人。



一人って厄介だ。


頭の中に
またあの不安が押し寄せてきた。


…どうしよ
妊娠のこと、
家族に言わなきゃいけないよね

うぅ…

まだ決まったわけじゃないよぅ

あーーーーーーっ

どうしよどうしよどうしよ…!!

ねぇ、どうしたらいいの?!



私は私に心の中で語りかけた。



もう、何でもいいから、
すがりたかった。


  … … …


さっきはあんなに
語りかけてきたのにっ…!!
だんまりですかっ?!





「…はぁ」



窓の外から夕日に焼けた雲が見える。
所々空がピンク色に染まっていて
とても綺麗だ。


「…どうしよ」


いっそのこと
私もこの空に溶けてしまいたい。




■□■ 第10章 おわり ■□■

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