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運んで人目につくのも厄介なので
隠土先生にはここへ来て貰った。

「やることは昔と変わらないのな」

隠土先生が呆れた表情で
次朗さんを見る。

「泣かせたから…」

ふてくされたような顔で
次朗さんが呟く。

「佐伯か？何かあったみたいだな。
　…わ　お前な
　ったく…　加減しろよ。」

加減出来ないから問題なのだ。
それが分かるから、俺も肝を冷やした。

「隠土先生…？
　アンタの弟、ムチャクチャだぜ
　…っ」

訴える木瀬の腫れた目元が痛々しい。

「やられた原因に覚えはないか？」

隠土先生の声はいつに無く、冷たい。

「…サッカー部は試合近いよな。
　ま、出場出来るか、微妙だけど」

「…ってぇっ！！
　何すんだよっ？！　…あれ？
　痛みが…引いてく」

隠土先生の手が、紫色に腫れた
木瀬の腰を握り込んだ。

「大した怪我はしてねーよ。
　こんなんで騒ぐなら
　男じゃねー。」

バシ　…！

と腰から離した手で木瀬の背中を叩く。


「弟がやった事は謝る。
　…けど、お前が何でこうなったか
　詳しく聞かせてもらわないとな。」

「別に　なんもしてませんよ。
　少しからかっただけです
　…ぐ　！？！
　なんだよ香田
　生徒会長がこんな事していーのかよ」


次朗さんの脅しは
身体が覚えてるはずだが、
開き直った口振りに頭にきた俺は

思わず木瀬の襟首を掴んでいた。




「香田君、
　怖がって話せなくなったら困るわ」



「？」

あ　

校長先生が静かに現れた。