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「再会」と呼べる「出会い」

第11章 お仕置きとケツ叩き

「次朗さん!
 あなたじゃなきゃ
 駄目なんです!!」

「…りょーちゃん
 あのね、こういうのってそもそも
 本人の意志が大事なわけでしょ?
 何度も言ってて辛くなるけど
 俺、寧ろ彼女に嫌われてるし」

「思い違いです!
 ミカだって本当は…
 優司先輩と別れたがってた。
 別れを切り出したのに断られて…」

香田の表情が苦悶に歪む。

「佐伯さん自身が
 別れたいって言ったんだ?」

「はい
 …けどあいつ、情に脆い所があって。
 優司先輩が
 お袋さんが病気になって
 意気消沈してる姿を見たら
 ほっとけなくなったって…」

「母親が病気?」

本当なのか?
それ、佐伯を繋ぎ止める為の
嘘じゃないのか?


「けどそれ、
 嘘なんです。」



やっぱりか…


「佐伯は?
 嘘だって事、知ってるのか?」

「…言えませんでした。
 一度、俺自身
 優司先輩に詰め寄った事あるんスけど
 実はうちの家業が
 井崎建設から仕事を貰ってて…」

「もしかして脅されたの?
 井崎って奴、酷い事するなぁ。」

松井先生が呆れた表情でカップを置いた。


香田もそれは余計に辛いだろう。

佐伯と、家がやっている仕事
両天秤にかけられたのだ。

…家を選んだことで
佐伯を救えなかった…

それに、責任を感じているのだろう。

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