「再会」と呼べる「出会い」
第12章 イカ祭りの誘惑
「はぁ…っ」
「デッカイ溜め息」
「わっ?!!」
「若い内はね、何でも
悩んだ方がいいんだよー。」
次朗さんがドアのすぐ側に立っていた。
一体…
いつからいたんだろう
「そろそろいいかなぁと思って。
ご飯、出来たよ。」
「…は はい 」
タイミング計られてたのかよっ…!!
…ん?
あれ
ドアのすぐ横に
ポスターがわざわざ額に入れられて
貼ってある。
他の催し物ポスターと
何ら変わりないと思ったんだが。
【世界のイカ展
深海の神秘 大王イカ日本上陸!!】
…あーそういや
テレビで話題になってたよなぁ
ふーん、イカ祭りも同時開催かぁ。
「なんでこれだけ
額に入ってるんスか?」
「保存版だからね」
は?
…そういやこの人
なんでか知んないけど
すっげー イカが好きなんだよな。
「行ったんスか?」
「まだだよ。
最近忙しくて…」
…
なんか 閃いた。
「週末にでも行きませんか?」
「え? リョウちゃんと?
…たまにはいいかもね。」
「じゃなくて…!!」
次朗さんの視線がヤバい感じで怖い。
「ミカを誘って」
「…来ないよ。
俺なんか来るって知ったら
即 断るよ、多分」
「そんな事、無いと思いますよ。
試しに誘ってみたらどうですか?」
「…じゃあ」
次朗さんは携帯を取り出した。
「俺、先に行ってますね。
頑張って下さい!」
俺の激励に、
次朗さんが苦笑で返した。
ミカは電話に出ただろうか?
俺は邪魔にならないように
そっと出て、ドアを閉めた。
*…*…*…*…*…*…*