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「再会」と呼べる「出会い」

第17章 溶ける体温

「四津川ならすぐだね
 私もゲートボール仲間が
 沢山住んでるけど
 家はどの辺かね?」

「え…っと」


次朗君が詰まった。


「川の近くだよね確か

 えっと 次朗君
 何か大事な話があったんだよね
 部屋行こうか」

本当の事、ではないから
言いづらいよね。
私は助けるつもりで立ち上がった。


「ありがと」

次朗君が
私だけに聞こえるように呟いた。


「ごちそうさまでした
 本当に美味しかったです」

「お茶位飲んでいったら?」

お母さんが引き止める。

「部屋に持って行くから」



「お母さん 野暮だよ」

「あ…ふふ そうねぇ」

両親が気遣ってくれる。


ミズカの記憶を戻して
気付いた事がある。

今の両親は
かつての両親と同じだという事だ。
二人に過去の記憶は無さそうだけど
顔も声も、その優しさも
全く変わらない。

この巡り合わせをくれた事に
私は感謝したい。




「えー もっとお話したかったのにぃ」

「リカ
 次朗君はミカのお客さんだよ
 邪魔しちゃいけない」

「ちぇ いーなぁ
 けど
 お姉ちゃん良かったね」

「え あ …うん」



良かったね か。
良かった…のかな…。


「妹ちゃん可愛いね
 君ら兄妹 みんなそっくりで
 なんかハーレム作れそう」

階段を登りながら
次朗君が何か言っている。
…ハーレムって

なんかこわい。

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