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「再会」と呼べる「出会い」

第18章 冷 え

何となく嫌な予感がして、
俺は見に行くことにした。
職員玄関に行くと
久保先生と教頭先生がいた。

「行ってみましょう」

俺たちは外に出た。

生徒達がザワザワと
校門のあたりに
溜まっていた。

先頭には香田がいる。

そのすぐ後ろには
佐伯と山一、それに三井。


みんなは立ち去る、
一台の車を見送っていた。

車は黒く光り、
ブランドのエンブレムが
西日に反射していた。


「香田
 何があったんだ?」

「井崎建設のお偉いさんに
 道を聞かれたんです」

井崎建設だって…?

俺は佐伯を見た。
 

「道を?」

「よく分からないんスけど
 ケーキの美味い店が
 あるって聞いたけど
 地図があっても
 道が分かんないとかで…」

「…!
 もしかして
 そこって
 あれじゃないですか
 校長先生行きつけの
 喫茶店!」


久保先生が閃いた!
とばかりに声を上げた。

「あぁ 
 みんな言ってたからなぁ
 辿りつけないって」

教頭先生も納得する。


「そうそう
 喫茶店らしいんだけど
 って言ってました
 奥さんに
 頼まれたとか

 じゃ 俺らはこれで
 さようなら

 行くぞ」

「うん
 さようなら」


頭を下げた佐伯の表情は
どこか曇っていた。
井崎の…
何かあったに違いない。

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