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好きで、好きで、好きで。

第3章 さざ波

自分を受け入れるには小さすぎる身体。
それでも精一杯優斗に応えようとする可愛い幼馴染。

ひどいことはしていると分かっていても、側においてずっと自分だけを見ていれば良いと思ってしまう独占欲。

優斗はいろんな気持ちを抑えるように、操から目を逸らした。

机の上にノートと教科書が散らかっている。

おそらくは操が宿題を教えてもらおうと部屋に持ってきていたのが分かった。

ぱらぱらとページを捲ってみると、授業中眠ってしまったのかミミズの這ったページや、飽きてしまったのか落書きがあるページ。

全て操自身をあらわしていた。


「…ごめんな、操。」

今日の放課後グラウンドで大きく自分に手を振っていた操を思い出して、それを無視した自分に嫌気がさした。

隣にいた転入生はこちらをにらんで目を離さなかった。

「小坂…か。」

端正な顔つきで無愛想な男を思い出して、ノートを閉じごろんと寝転がる。

ふつふつと湧き上がる不安感。

曲がった想いが胸を締め付け、優斗は硬く握りこぶしを作った。

夕食前に来たメールを開く。

ー来週帰国するんだぁ。優斗君、会える?未知

「…はあ…」

返事はまだしていない。
けれど少し考えてからメール作成画面を開いた。

ー連絡待っています。優斗

後ろで寝息を立てる操をチラリと見て、ぐっと歯をかみしめた。

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