好きで、好きで、好きで。
第3章 さざ波
こうやって、紗理奈を追い詰める。
甘い言葉で、甘い思い出を餌に…
「…うん、いく…」
電話の向こうでは、二ノ宮が不敵に笑っているのが想像できた。
「うわっ!!」
風呂から上がると、優斗の部屋には操がいた。
待ちくたびれたのか、ベッドですやすやと眠っている。
その小さな身体では、優斗のベッドがひどく大きく見えた。
起こさないようにゆっくり近づき、ベッド脇に座りタオルで濡れた頭をワシャワシャ拭いた。
「…操。」
「…う…」
ムニャムニャと口を動かす操に思わず笑みがこぼれる。
ほんのり赤みが差している白い頬に触れると、ちょっと微笑んだように見えた。
窓を見ると、入ってきたままなのか開けっ放しになっている。
「…ったく…ここで寝るなよな。」
そういいながら布団をかけ窓を閉めた。