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BL~中編・長編集2~

第11章 ~恋の公式~

昔・・・俺が想像もできないくらい昔、どっかの頭のいい人が、「1+1=2」という公式を発見した。
今の世の中では当たり前の知識だし、小学校に入る前の幼稚園児だって知ってる。

でも、俺はこの公式を発見した人はすごいと思うんだ。
きっと、その人がこの公式を発見するまで、世界にいる大多数の人間はそんなこと考えようともしなかったと思う。

そんなすごい発見を、小学生の頃は「1+1は田んぼの『田』!!」なんて屁理屈を言っていたりしたけど、俺の友人が、二人で飲んでいた時にこの公式を恋愛に当てはめて話をしたことがあった。

『「1+1=2」っていうじゃん? それってさ、俺っていう一人の人間と、彼女っていう一人の人間が一緒にいることで、幸せが「2」になるってことだと思うんだよな。』

この話を聞いた時の俺は、『惚気てるんじゃねぇよ。』なんて友人をからかったけど、後から考えてみれば、俺の考えは友人のものとは違った。

まぁ、俺の特殊な恋愛経験のせいでそう思ったのかもしれないけどな。

恋愛経験って言っても、俺の場合は恋愛と呼べるのかわからない。 ずっと、片思いのままだから。

あいつを好きになってから・・・何年になるかな。
大学二年の時からだから・・・もう六年か。

あいつは俺より二歳年上で、大学では絶大な人気を誇っている奴だった。

容姿端麗、成績優秀、寡黙でクールなあいつは、同年代の先輩方にはもちろん、俺の同輩や後輩達からも人気を集めていた。

本来なら、絶対に近づけない存在。

俺も元々はノーマルだったし、特にあいつにも興味はなかった。

ところがどっこい。 なにを間違えたのか、俺はあいつのセフレになってしまった。

あいつは、誘われれば男でも女でも断らない。  そういう噂は立っていたが、まさか自分がそういう世界に足を踏み入れることになるとは思っていなかった。

俺にとって、あいつは初めての男。 何もわからない俺に、あいつは一からすべて教えこんできた。

あいつと関係を持ってから六年━━━・・・

俺は、心も体もあいつの色に染まってしまった。

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