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BL~中編・長編集2~

第14章 ~番外編③~

幸の願いもあって…その日は、ずっと幸とくっついていた。
晩御飯の準備する時も、ご飯食べ終わった後の一服の時も…テレビを観ている時も、離れなかった。
トイレに行こうと立ち上がれば、幸に服の端を掴まれて、
「どこに行くの?」
と目で訴えられた。

「トイレ。 すぐ戻ってくるから。」

それでも不安そうな表情を浮かべる幸に不安を覚えながらトイレに立ち上がり、これ以上にないくらい早く用をたして戻る。
そんなことを繰り返した。

「もうこんな時間か…寝るか?」

「………ん…」

時計を見ると、午後十一時。 寝るには丁度いいか。

いつものように、幸と一緒にベッドに入り、これまたいつものように幸を抱きしめる。
すると……いつもなら、絶対に自分からは抱きついてこない幸が、俺にすがりつくように抱きついてきた。

「……斗真…」

「ん? どうした?」

今日は…やけに俺の名前を呼ぶな…
幸の心が不安定な証拠か?

「…お願い……一人に…しないで…」

「………幸…」

今にも泣きそうな声で、俺にそう訴えてきた幸。
ぴったりと隙間なくくっついている体を少しだけ離し、幸の顔を覗きこんだ。

「お前のこと一人にするわけないだろ? 俺はお前の事が好きなんだから。 幸が嫌だって言っても、絶対に離してなんかやらないからな。」

「ッ…ん……斗真…」

嬉しさからなのか…少し安心したのか、幸は目から涙を溢れさせた。
ポロポロと流れる涙を拭ってやり、優しく触れるだけのキスをしてやる。

「ほら、もう寝るぞ。」

「………う…ん…」

気疲れしたのか、「絶対に離さない。」と俺に言われて安心したのかわからないけど……軽く頭を撫でているうちに、幸は寝息を立て始めた。

「………」

俺も、一日幸のことをあれこれ考えたせいで疲れたのか、すぐに眠りに落ちてしまった。








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