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BL~中編・長編集2~

第14章 ~番外編③~

「ん………」

なんか…寒い……

眠ってからどのくらいの時間が経ったのかはわからないが、俺は寒さで目が覚めた。
不思議に思って、隣に寝ているはずの幸に手を伸ばす。

「……幸…?」

あれ…? 幸がいない……トイレか?

そう思って、少しの間待ってみたんだけど…物音一つしない。

トイレじゃない…どこに行ったんだ?

「幸……?」

幸がいなくなったかもしれない。ということに言いようのない不安を覚え、ベッドを飛び出し、家の中を片っ端から捜し回る。

トイレ、脱衣所、風呂、リビング…どこにもいない。

嘘だろ…まさか、本当に出て行ったのか?

「幸…!?」

もう、外に捜しに行こうと思って、コートを片手に玄関に向かおうと……キッチンの前を通り過ぎた時…
幸が、キッチンの隅に体を丸めて小さくなって座り込んでいるのを見つけた。

「……さ、ち…?」

近くに行って初めて気付いた。
幸は……

「っ……ッ…」

泣いていたんだ。 声を殺して、体を小刻みに震わせながら…

「……幸…」

「…ッ…」

しゃがみこんで、ぎゅっと抱きしめてやる。 幸の体は冷え切っていて…
当然だ。 真冬に、暖房も効いていない寒いキッチンに座り込んで泣いていたんだから。

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