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闇の王と光の騎士

第7章 地獄の門、開く

しかし魔族も馬鹿ではない。
時おり魔族がさらわれ、実験動物のように殺されている事態を掴んでいた。

月に照らされた積み荷を積んだ貨車の前にスーっと一人の魔族が降り立つ。

「積み荷を渡してもらおうか?」

新ガスの輸送を事前に掴んでいたサタン、櫻啼が夜の闇から現れた。

「ひ、ひぃっ!!」

研究者の一人が慌ててガスのノズルを取り、櫻啼に噴霧する。
ガスは櫻啼の全身を包み込んだ。

もうもうと立ち込める煙が夜風で流されていく。

「この程度か……」

煙を浴び、吸い込んだ櫻啼にダメージは見受けられなかった。

「なっ……!?」

「しかしまあ……厄介な代物には変わりないな……」

櫻啼は三ツ又の矛を構えて貨車に近付く。

「私が相手だ……」

霧里が刀を抜いてその前に立ちはだかった。

国王の懐刀と魔王の右腕がここで相まみえる。

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