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闇の王と光の騎士

第7章 地獄の門、開く

「その眼だ……そうっ!! そうでなくてはっ!!」

死を怯えず、戦いを求める目。

それが櫻啼を喜ばせる。

「熱風波ッ!!」

霧里は灼熱の風を起こす。

「うわっ!?」

激しい暴風は研究者たちも捲き込んだ。
余裕がなくなった霧里には味方を守りながら戦うという器用な真似が出来なくなっていた。

熱風が櫻啼も包み、辺りは小さな竜巻に飲み込まれる。

(効いたか……!?)

霧里の願いも虚しく、竜巻の中から無傷の櫻啼が飛び出してくる。

「この程度かッ!!」

術が効いていたと思い込んでいた霧里は不意を衝かれた。

櫻啼の三ツ又の矛が眼前まで迫り来る。

せめて急所を外させるのが精一杯だった。

「ぐぁあああっ!!」

矛は霧里の肩を貫く。
肉のみならず、骨まで貫通した。

「いい感触だ」

ズブッと矛を引き抜かれると傷口から血が噴き出す。

「くっ……貴様っ……」

肩を押さえ、なんとか立っているといった霧里だった。

しかしそれでも霧里の目は諦めを宿していない。

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