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餓鬼仙人。
それがその仙人の通り名だった。

魔族であろうが人間であろうがとにかく食い散らかす、悪食の悪魔だ。

人肉や魔族の肉を喰らうことで仙人の力を得てしまった亜種の魔族であった。

魔族の汚点であるこの化け物を魔王は何より嫌っていた。

「やめっ……やめろぉおおおっ!!」

バキッと骨が折れる気色の悪い音が鳴り、小屋の壁にソラの鮮血が飛び散る。

「あぁあああああっ!!」

ソラの断末魔が、森に響くほど大きくあげられた。

「ッッ!?」

その声をゲレイロは感知する。

「しまったっ!!」

慌てて声がした方へと向かう。

しかし探す必要は、なくなる。

ソラの肉を喰らった餓鬼仙人は巨木を凌ぐほどの巨体になっていた。

「な、なんだ、あれはっ!?」

死の湖でキャンプをはっていたももは将軍もそのおぞましき姿を目撃していた。

髪が抜け落ちた頭部、異様に膨れた腹部と対称的に痩せこけた手足。

地獄絵図でみる餓鬼そのままの姿であった。