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闇の王と光の騎士

第9章 暴君王のスピーチ

月影の連続攻撃は間違っていなかった。
しかし相手が悪かった。

TOMは何百年も戦いに身を投じてきた手練れだ。

壁に突き刺さった左手の鉤爪を素早く外し、そのままの勢いで月影の腹部に拳を突き上げた。

「ぐはっ!!」

さすがの月影もそれは避けきれない。

思いきった一撃を食らい、膝から倒れてしまう。

TOMは脚をあげ、かかとを叩き落とすように月影の頭部を狙った。

「ッッ……」

かかと落としが炸裂する寸前でTOMは脚を止めた。

「なっ……」

なぜ?という言葉が出かけて月影は口を閉じる。

「今回だけは……見逃してやる……俺たちの友情に免じてな……けど、次あったならば……」

必ず殺す----

そう言い残してTOMは窓ガラスをぶち破って博物館から出ていった。

人間と魔族。
悲しい戦いはどちらかが死に絶えるまで終わることはない。

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