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闇の王と光の騎士

第9章 暴君王のスピーチ

ゆずも魔族の剥製を展示している博物館を嫌悪している。

(ぶっ潰してやるか……)

衝動は止められず、堕天使の姿になろうとした瞬間----

「そこで何をしてるんですか?」
「っ!?」

慌てて振り返ると目だけ笑っていない遥風が立っていた。

(こいつ……!!)

ゆずは間髪入れず頭突きを遥風に喰らわせた。

「がふっ!?」

構える前の奇襲は遥風に直撃する。
顔面に激痛が走ると共に、鉄臭い血の臭いが口のなかに充満した。
鼻の骨は折れ、頬の骨にもヒビが入っていた。

「くっ……」

噴き出した血が目に入るが、遥風は目を閉じずに倒れかけた身体を立て直す。

怯めばその隙に殺される。

堕天使と用心棒の対決で初手をとったのは迷いがなかった堕天使だった。



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