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闇の王と光の騎士

第18章 暗部街の決闘

(俺は……こんなところでは死ねないッ……)

執念で追撃に来たまあやに飛び掛かる。
しかしそれも彼女の予測範囲であった。

「ていっ!!」

先程は不覚をとった聖杖が月影の腹を撃ち突いた。

「馬鹿な……」

自らの飛び込む勢いも加わり、その衝撃は身体を貫くほどの威力となってしまう。

吐血は更に勢いよく溢れた。

幾多の窮地を掻い潜ってきた月影もこれ程腕のたつものと戦うのははじめてであった。

もはや彼の体の内部は修復不能なほどに破損していた。

勝負はあった。

これ以上の抵抗は無駄であることを月影自身も悟っていた。

けれど……

「俺には……やらねばならないことがッ……」

細いソードを杖のようにし、月影はヨロヨロと立ち上がり、まあやに背を向けて歩き出す。

しかし彼の身体は歩くことすらままならぬ程の状態だった。

二、三歩歩いては倒れ、また立ち上がる。
まあやはその姿を見て、心が震える。


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