テキストサイズ

闇の王と光の騎士

第20章 闇の王

「俺だけじゃない……多くの国民はすまいる王に英雄を見た。せめて死んでまで汚名を残すことはないだろう……過去の王まで穢さないでくれ」

「ももは……」

苦しそうに頭を下げるももは将軍にすまいるは沈痛の面持ちになる。

「…………出来ない。悪が何であったかを明らかにして裁かなければ世の中は本当の意味で変われない」

「まあや……」

「らふぃん王子には辛い裁判になるかもしれないけど、仕方のないこと」

すまいる王を殺すという決意は同じ。

しかし二人のスタンスには埋めようのない溝があった。

かつての英雄の名声までもを穢すことなく幕を引きたいももは。

悪は何であったかを明らかにし、そこから反省点をもって前へ進むべきだと唱えるまあや。

それが死んでいった者たちへのせめてのも餞となる。

「貴方とはいつかけりを着けなければと思っていたわ……」

「……初めて意見があったな……」

二人は武器を構えて睨み合う。

王立軍最強の戦士と王立軍最強の魔導師の最期の戦いが幕を開けた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ