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闇の王と光の騎士

第5章 破滅のはじまり

「まだやりますか?」

地面に墜落した櫻啼に遥風が近付いて見下ろす。

「ちっ……今は退いてやる……」

櫻啼は苦渋の表情で呟き、勢いよく空へと飛び立つ。
大火傷を負わされた今の櫻啼に勝ち目がないのは明白だった。

人間ごときに手負いにされた悔しさを抱え、サタンは逃げ去る。

「よ、よくやった……遥風っ……」

ドン・ステファノは腰を抜かした姿勢のまま、用心棒に労いの言葉をかけた。

「なんか……荒れそうな気配ですねぇ……」

消えていく櫻啼の背中を袴姿の用心棒は眺めていた。
先ほどまで見せていた鬼神のオーラはすでになく、いつも通りのぼーっとした覇気のない遥風の姿で。

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