テキストサイズ

闇の王と光の騎士

第5章 破滅のはじまり

あまり人目に目立ってはいけないのでゆずは路地裏に入る。

南の都にも色々な地区があり、この辺りは治安も悪く、警備も手薄なエリアであった。

華やかなメイン地区とはうって変わり、この辺りは煤けた石造りの貧しい民家が立ち並んでいる。

洗濯物もところ狭しと吊るされており、行き交う人も少ない。

「お姉ちゃん……」

不意に声をかけられ慌ててゆずは振り返る。

近付く人間を感知できないゆずではない。

気配のないところから急に声をかけられて焦りを覚える。

背後には年端のいかない少女が立っていた。

(この子が気配を消して……? 殺すか?)

悩んだ挙げ句、ゆずはしゃがんで少女に目線をあわせる。

「なぁに、お嬢ちゃん?」

「お姉ちゃん、人間じゃないね?」

「ッッ……!?」

その少女、ミーカはにっこりと笑って真理を見破った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ