溺れる電車
第5章 愛おしいなんて。
「そういえばなんだけどさ…」
「ん?」
「なんで私の名前知っているの?」
素朴な疑問だった。
聞くタイミングを失っていたが、
ずっと気になっていたことだった。
「ああ、お前のバックのストラップに書いてあった。AMIって」
「あ…ああっ」
「ほんと、抜けてるな」
優人は、かわいい顔で笑った。
そんな顔を見るのは初めてだったじゃらなんだかうれしかった。
…なるほどね。
私のバックのストラップは亮くんにもらったもの。
なんだか、何とも言えない、気持ち。
でも、もう、すべてを捨てるって決めたの。
もう、後には引けない。