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♡*:。.rena's world story.。:*♡

第10章 ☆それだけで、幸せ

彩さんの旦那さんは、僕とは正反対だった。


コワモテでスーツ姿がかっこよくて、鋭い目、低い声。


そして、接客をした短い間だけでも、話が面白くて引き込まれる何かがあって。


だけど、彩さんの事を話した時だけは


とろけるような、優しい顔になったんだ。




『……大切な記念日なのに、俺のせいで怒らせてしまったから。

金額はいくらでも構わないので

嫁の笑顔が戻るような、特別なチョコレートケーキをお願いします』




………………っ




「勝てっこないよ!」




厨房全体に響き渡る声で、僕は叫んだ。




「かっこいい!

僕もあんなセリフ言いたい!

こんな白くてひょろひょろした体じゃなくて、筋肉が欲しい!」


「うるさいな! いい加減にしろ!」




ボカッ!


~~~~~!!




「……暴力反対ー!」


「そのご主人様を見習って、少しは男らしくしろ!
客に手を出す暇があったら筋トレしとけ!」





……オカマのオーナーは、怒ると男に戻る。


泣き虫な僕は、最後はいつも殴られるんだ。

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