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♡*:。.rena's world story.。:*♡

第10章 ☆それだけで、幸せ

「大丈夫よ。

今は苦しくても、ちゃんと思い出に変わるから」




作業台の向こう側に座って、オーナーは静かに続ける。




「一目惚れをする相手に出逢えたなんて、とってもステキなことよ。

それに、波留の恋する気持ち、ちゃんとケーキに入ってるんでしょ。

形は違うけど、その想いを好きな人が召し上がってくれる。

それだけでも、充分幸せじゃない」



「……………」




普段はガミガミ怒るくせに


こういう時だけ、優しい言葉をかけてくるんだ。


……泣かせようったって、そうはいかないよ。




「……僕はそんな気持ちを入れたりしてないよ。

ただ美味しく召し上がりますようにって、それだけを想って作ったんだ」



「あっそ。お利口ね」





オーナーはどうでもいいとでも言うように、しれっとして立ち上がる。


~~~もっと褒めてくれてもいいじゃないかっ。


自分が余裕であることを示したくて、僕はオーナーに向かって言い放った。





「それだけじゃないよ!

予約に来店された時、ご主人に言ったんだ。

サプライズしてもらえるなんて、彩さんは幸せですねって。

ちゃんと言えたんだからね!」

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