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第14章 ★叶わない願い

「……なぁ、美和」




再び体を起こして、私の胸元にキスを落としながら、ヒメがふいに口を開いた。




「どんなに願っても、絶対に手に入らないものがあるとしたら

……お前だったら、どうする?」


「……え……?」




突然のヒメの質問にびっくりして、今の言葉をもう一度頭の中でリピートする。


ヒメは顔を上げると、私の目を真っ直ぐ見つめた。




「……絶対に手に入らないもの……?」


「そう、既に誰かの手に渡っていて、それを自分のものにすることは出来ない。

世界に1つしかないから」


「それって……
限定品とか、そういった類の話?」


「……まぁ、そんな感じ。

欲しくて欲しくて堪らねぇんだけど、金や力じゃどうにもならなくて。

例え……無理やり奪うことが出来たとしても、手にした瞬間に壊れちまう」


「…………?」




手に入れても壊れてしまうから、絶対に自分の手に入らないってこと……?


急にそんな話をされた理由も


その質問の真意も分からないけど


ヒメの目が真剣だから


私は少しの間沈黙した後、じっとその瞳を見つめ返した。




「……その欲しかった物を受け取った人が

生涯ずっと大切にしてくれますようにって、願うかな……」


「…………!」


「それでも、きっと想いは簡単には消えないだろうから……

誰にも知られない所でそっと取り出して、両手で包み込む幸せを感じたいな。

……夢の中だけでいいから……」

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