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第19章 ★幸せの花びら

支払いを済ませて、テーブルに戻ってきた蓮。


バッグを持ってあたしも立ち上がる。




「……ごちそーさま」

「悪いな。
本当はフレンチのフルコースでもご馳走したかったけど」

「あたしはこっちの方がいいよ。
そーいうのは恋人の方が好きなんじゃない?」

「いや、そんなことないよ。
現にここ、彼女が教えてくれた店だし」

「えっマジ?」

「仕事柄普段は隠してるけど、根っからの江戸っ子。
下町っぽい感じが好きらしい」




へぇ~意外。

CAってブランド物が好きで、洒落た料理ばかり食うみたいな勝手なイメージがあったけど。

ちょっとだけ親近感が沸いてしまうじゃないか。



………それにしても




「蓮、吹っ切れたみたいに女の話をするようになったね」

「…………」

「しかもそれを今あたしに言うんだから、素晴らしいよ」




店の扉を開けて、蓮は無言で自分の口を押さえる。


……みんな蓮を完璧だって絶賛するけど


この男がたまにこうして抜けてるってこと、誰も知らないんだろうな。


………こんな姿を見れるのは、気を許せる仲間としての特権か。




「……まぁ、でも。

あたしはそんな蓮に惚れたんだ」




自然に出てきた言葉と共に


ニカっと笑ってその瞳を見つめる。




蓮は何も言わなかったけど


あたしを見て優しく微笑んだ。

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