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♡*:。.rena's world story.。:*♡

第7章 ☆甘い誘惑

「彩さん?」



何も言わない私に気付いて、彼が顔を上げた。


い、いけない。


ここで涙を見せるなんて、かなり痛い女だ……!




「ごめんなさい、何でもないです。
……えっと、あ!
昨日もらったフルーツケーキ、凄く美味しかった!」




話題を変えようとして、本来先に伝えるべきだった話を思い出す。




「ラム酒の香りがふわっと口の中に広がって。
スポンジもしっとりしてて、あっと言う間に溶けて無くなっちゃいました」




翔ちゃんが帰って来る前に、1人でこっそり食べた。

気の利いたコメントは言えないけど

彼の作ったフルーツケーキは、本当に美味しかったんだ。





「ショコラのケーキも欲しいけど、昨日のあれをもう一度食べたいな。
まだ、残ってますか?」





ルンルンな気分で、ショーケースに目を移そうとしたけど




その前に




笑顔が消えて、真剣な表情に変わった彼の顔が目に入った。

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