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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第12章 第一部第三話【月戀桜~つきこいざくら~】 十六夜の月

 考えられるのは盗品、もしくは盗んだとはいかずとも、不正な手段でここに運ばれてきたものだということ。それは小紅もごく自然な考えであるように思えた。
 しかし、よくぞここまで財宝の山を集め運び込んだものだ。幾ら町外れとはいえ、人眼もあるだろうのに。恐らくは人眼をはばかり、夜半にこっそりと持ち込んだに相違ない。―そこまで考えて、小紅は全身に鳥肌が立った。

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