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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第12章 第一部第三話【月戀桜~つきこいざくら~】 十六夜の月

 安堵のあまり、身体中の力が抜けていくようだ。それからの記憶は、実のところ、小紅には一切残っていない。荒れ寺からどのようにして長屋まで戻ったのか、戻るなり薄い夜具に倒れ込み、朝まで泥のような深い眠りに落ちた。

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