テキストサイズ

一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第13章 第一部第三話【戀月桜~こいつきざくら~】 龍馬という男

 小紅の考えでは、あの廃寺は間違いなく盗品売買の場所となっている。あくどい連中の巣窟とでもいえよう。そして、あろうことか、栄佐はその一味の用心棒役として一役買っている。あの赤ら顔の猪男が一味の頭目、いちばんの大物だろう。その大物が栄佐には一目置いた態度で〝先生〟と呼んでいたことからも栄佐が一味で重要な役割―恐らくは護衛役を担っていることが窺えた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ