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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

 恐らく親にでさえ叩かれたことのないであろう甘ったれ男は茫然として眼を見開いていた。
 やがて、準平が怒りのあまり朱に染まった顔で拳を振り上げた。
「この―」
―殴りたければ、殴れば良い。
 小紅はキッと準平をにらみ付けた。
 ところが、何を思ったか、準平は小紅の腕を掴むと、廊下を歩き出した。

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