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一度だけ抱いて～花は蝶に誘われてひらく～

第14章 第一部第三話【戀月桜～こいつきざくら～】　熾火（おきび）

　次の瞬間、小紅は自分でも信じられない行動に出ていた。
「馬鹿ッ」
　小紅の小さな手が栄佐の頬を打っていたのだ。打たれた栄佐はポカンと惚けたように小紅を見ている。
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