無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

　栄佐が宗徳寺に行ったと知りながら、何もしないでいるのは辛かったが、今は龍馬の言うように潜伏しているしかない。一撃で一味の動かぬ証拠を捉えるというのなら、やはり、早まった真似をして、相手にこちらの動きを知られてはまずいのだ。
　十五日の夜からも十日ほどが経ち、三月も終わりが近くなった。今年は温かい春で、上野の寛永寺では桜が咲いたと桜便りが聞こえてきたのもこの頃だった。