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　徳太郎の行動力や潔い決断は同じ男としても素直に賞賛に値すると思う。何より羨ましかった。これらはけして自分にはないものだ。もし徳太郎の分別の十分の一ほども持ち合わせていたら、小紅をあっさりと解放してやれるだろう。その前に、盗品売買といった馬鹿げた犯罪に加わったりはしないだろう。
　小紅に言ったのは嘘ではない。栄佐は金が欲しかった。だからこそ、職探しに訪れた口入れ屋で良い仕事口があるとうまい話をちらつかされ、つい愚かにも乗ってしまった。