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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

 小紅の帯はすべて解かれ、腰紐だけになっており、着物の前は乱れている。はっきりと乱暴された形跡を残していた。
「何て格好だ。私は本当に馬鹿な倅を―」
 言いかけた武平が胸を押さえた。
「ツ」
 明らかに苦悶の表情を浮かべる武平に、小紅は慌てて駆け寄る。
「叔父さま、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。ちょっと胃の腑が痛んだだけだから、心配しなくて良い」

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