『一度だけ抱いて～花は蝶に誘われてひらく～』第16章「【戀月桜～こいつきざくら～】決着～安政六年四月五日宗徳寺」　1232ページ

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一度だけ抱いて～花は蝶に誘われてひらく～

第16章【戀月桜～こいつきざくら～】決着～安政六年四月五日宗徳寺

　栄佐が龍馬の刀をすかさず拾い上げ、彼に放ってよこす場面だった。龍馬が咄嗟にそれを受け止める。
「二人なら、何とかなるかもしれねえ」
　栄佐は叫ぶと、浪人たちに向かって刀を構えた。
「先生、どうしたんですか！　何を血迷って」
　土佐屋が赤ら顔を更に紅くして怒鳴る。が、時ここに至り、栄佐に裏切られたのだと悟ったようだ。