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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

 小紅は懐から懐紙に包んだ金平糖をそっと取り出した。
「これはほんのお礼」
「お嬢さま、おいら、こんなものは頂けません」
 黒いつぶらな瞳で訴える太吉に、小紅は微笑みかけた。
「もし誰かに何か言われたら、私が無理に押しつけたのだと言って。ね?」
「は、はい」
 小紅が見つめると、太吉は紅くなり頷いた。

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