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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第20章 第二部・第四話【悲願花~女になった男~】 定命  

 それにしても、今し方は正直、焦った。栄佐が髪に触ることそのものは珍しくはない。妹にするように髪を撫で回すのはいつものことだ。だが、触れ方もいつもとは違っていた。
 くしゃっとかき回すよりは、指先で軽く触れられるだけの方がドキリとするなんて、私もおかしいのだろうか。それに、その後で髪や首筋の匂いをかいだり、おまけに舐めたりまで―。

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