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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第21章 第二部・第四話【悲願花~女になった男~】 兄の悩み

「もし、ごめんなすって」
 流石に焦れたような声になり、ハッと我に返った。
「はい?」
 慌てて三和土に降り、草履を突っかけて障子を開けると、向こうには見かけない男の顔があった。
「あの、こちには仕立屋の小紅さんのお住まいで?」
 表には〝したてもの、いたします〟の看板が下がっている。小紅は新手の客かと頷いた。

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