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　おや、という顔で輿平太は首を傾げた。
「あんた、本当に何も知らないのか？　栄太郎は正真正銘、武家のお坊ちゃんだぞ。あいつは家は貧乏旗本だって言ってたけどなあ。まあ、貧乏でも直参のお武家の若さまだからな、本来は俺たちのような下々の者と遊ぶような人じゃなかったのさ。でも、良いヤツだった、侍とか身分をひけらかすようなところは全然無くて、気持ちの真っすぐな大らかなところが俺は気に入ってたんだ」