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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第22章 第二部・第五話 【冬柿】 予兆

「今、良いか?」
 聞き慣れた声に、思わず花の蕾がひらくように顔がほころぶ。
「もちろんよ」
「ちょいと邪魔するぜ」
 言い終わらない中に表の障子が開いた。
「何だ、まだ宵の口だってえいうのに、もう仕事じまいか?」
 揶揄するような栄佐の口調に、小紅は笑った。

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