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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

 実の子でもないのに、武平は何故、こんなにも長い間、準平に変わらない情愛を注げられたのか。更に、そんな彼を父として敬愛し地道に商いを憶えようとするどころか、父の稼いだ金を湯水のように使って遊ぶ馬鹿息子をそれでも愛せるのか?
「今夜の小紅ちゃんは色々と難しい質問をするね」
 武平は優しいいつもの笑みを見せた。
「小紅ちゃん、人の縁(えにし)というものは複雑に入り組んでいるように見えて、実は意外に簡単なものなんだよ」

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