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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第23章 第二部・第五話 【冬柿】 冬柿

 栄佐に祝言の日を決めることを承諾した翌日、夕方には二人で差配の徳市を訪ねて仲人になることを頼んだ。徳市には十八で亡くなった娘が一人いるだけで、今は女房と細々と小間物屋を営んでいる。
 事の子細を告げられた徳市は快く引き受けた。徳市は以前から働き者で優しい気性の小紅を気に入っていた。特に初めて逢う女房のおはるの方は亡くした娘が戻ってきたみたいだと涙ながらに歓んで引き受けてくれた。

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