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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第23章 第二部・第五話 【冬柿】 冬柿

「言い訳なんか聞きたくないっ。おとっつぁんがいなくなって、どれだけ皆大変な想いをしたか判ってるの? 代々続いたうちの店は潰れたし、長年仕えてくれた奉公人も皆、散り散りになった。私は一人で払いきれないほどの借金を払わなければならない羽目に陥ったの! 武平叔父さまが助けてくれなかったら、私は今頃、ここにはいられなかった。吉原で遊女になって身を売っていたわ」
 小紅は声を震わせた。

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