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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜

「それだけなの?」
 え、と、武平が眼を見開いた。
「叔父さまにとって、私はそれだけの人間?」
 小紅は面をつと上げ、叔父を真っすぐに見つめた。
「私は叔父さまにとって、ただの姪っ子にすぎないのよね」
「小紅ちゃん、お前、何を言って―」
 話しかけた叔父に小紅は皆まで言わせなかった。

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