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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第24章 第二部第五話 【冬柿】 父と娘

 栄佐の問いに、仁助はまた自著気味に笑った。
「色々、ですよ。最初はまさに極楽でしたね。女と旅籠に泊まっては豪勢なご馳走三昧、温泉にも行きました。そんなことを続けていれば、持ち出した金なんざすぐに泡と消える。お佐津には一年ちょっとで愛想を尽かされ、逃げられました。わずかに残っていた路銀まで根こそぎ持ってね」

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