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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第24章 第二部第五話 【冬柿】 父と娘

「それからは方々を転々としてね。生きるためには食わなきゃなんないから、人足仕事も盛り場の客寄せも何でもやりましたよ。だけど、私は自慢じゃないが、算盤よりも重いものは持ったことがない男だ。商いのことならそこそこ自信はあっても、力仕事なんて向いてないんです。直に無理がたたって身体を壊しちまいました。ろくに働くこともできなくなって、今じゃ、このザマです」

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